Fate/stay night
会社 | TYPE MOON
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OS | Win98/ME/2000/XP
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CPU | PenU 400MHz以上(800以上推奨)
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HDD | 1700MB以上
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ビジュアル | 100点
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シナリオ | 100点
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音楽 | 90点
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エロ | 90点
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総評 | 95点
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<ジャンル>
伝奇活劇ビジュアルノベル
<ストーリー>
幼い頃、大規模な火事で両親を亡くした主人公、士郎は『魔法使い』を名乗る男、衛宮切継に引き取られ成長した。
切継の死後も、士郎は平和な日常を送りながらも一方で人目を忍んで魔術の訓練を続ける日々を送っていた。
しかしある日、彼はたまたま立ち寄った深夜の学校の校庭で常軌を逸した光景を目の当たりにする。
彼は『聖杯戦争』と呼ばれる戦いに巻き込まれていく事になる。
<主な登場人物>
<衛宮士郎>
主人公。真面目、正直、お人よしの少年。
養父切継から魔術を教わったが、その腕はほぼ素人と変わらない。
自分を救ってくれた切継に憧れ、『正義の味方』を目指して日々精進している。
サーヴァント(セイバー)を呼び出した事をきっかけに『聖杯戦争』に巻き込まれていく。
<セイバー>
第一部ヒロイン。
マスターとして聖杯戦争に参加した士郎が(偶然)召喚したサーヴァント。
かなりの堅物。全く愛想が無いわけではないが自分から積極的に感情を表に出す事は無い。
マスターである士郎の身を守ることを最優先に考え、己の身を盾にする事も厭わない。
見た目は士郎よりも年下の少女だが、その実力は7体存在するサーヴァントの中でも最強とされている。
<遠坂凛>
第二部ヒロイン
魔術の名門遠坂家の跡取り娘。サーヴァント(アーチャー)のマスターとして聖杯戦争に参加する。
天才肌の強気な少女。普段学校では完璧な優等生として振舞っているが、その正体は目的達成の為なら障害は全て排除するという傍若無人娘。
自信と才能の塊。
<間桐桜>
第三部ヒロイン
士郎の後輩の少女で、士郎にとっては平和な日常の象徴的存在。
士郎に好意を寄せており、毎日彼の自宅に家事手伝いに来るほどのかいがいしさ。しかし鈍感、堅物な士郎は気付かない。
内気で積極的に人とは関わらない性格。士郎等のよほど気を許した相手の前以外では押し黙っている事が多い様だ。
<藤村××>
士郎の保護者的存在。通称”藤ねぇ”。(下の名前はちょっとしたネタバレなので本編で確認して貰いたい)
士郎の学校の英語担当教師であり、剣道五段の腕前を持つ達人でもある。しかしその性格は緊張感のカケラも無い能天気。暇をみては士郎の家に食事をたかりに来る。
士郎の平和の象徴的存在その2。
<アーチャー>
凛が召喚したサーヴァント。皮肉屋で捻くれ者だが、根は誠実な男。
若いながら魔術師としてかなりの実力を持つ凛に協力し、聖杯戦争に勝ち抜く為活躍する。
<イリヤスフィール・フォン・アインツベルン>
聖杯戦争に参加するためにやってきた名門アインツベルン家の少女。通称”イリヤ”
銀の髪と紅い瞳という神秘的な容姿を持つ。
年相応の少女らしい表情を見せたかと思えば、勝利の為なら微塵の躊躇もなく人を殺す残虐性も見せる。
強力なサーヴァント(バーサーカー)を伴って士郎の前に立ちふさがる
<間桐慎二>
桜の兄で士郎の友人。清楚で可憐な桜の兄とは思えない捻くれ男。
士郎との付き合いはそれなりに長く、少し昔までは仲良くやっていたようだが最近は慎二の自己中具合に拍車がかかり、やや疎遠になっている。
才能には恵まれているのだが、それ故に自分よりもさらに優れている存在を許せない男。
<言峰綺礼>
聖杯戦争を監視する為に『教会』から派遣された神父。
とても神父とは思えない尊大な態度と口調で士郎達に接する。相手の言われたくない事を皮肉もまじえてネチネチと責める。
話が長い。
<ビジュアル―100点>
キャラクターデザインは『空の境界』『月姫』でもお馴染みの武内崇氏。
女性陣は可愛いし、男性陣はカッコイイし、デッサンもほぼ完璧。『月姫』ではやや不評(?)だった塗りの問題は新たにグラフィッカーを雇った事で解決した。”大手””老舗”と呼ばれるゲーム会社でも真似するのは難しいと思われる程高品質なCG。そして枚数が多い。一般的な美少女ゲームの平均の軽く2倍から3倍の枚数がある。
『月姫』『歌月十夜』同様、各キャラの立ち絵の種類もかなり豊富。やはり平均の2倍から3倍はある。
文句無しの100点と言えるのではないだろうか。
<シナリオ―100点>
武内崇氏同様、『月姫』等で大人気の奈須きのこ氏がシナリオ担当。
このゲームのシナリオはかなり長く、一部をクリアするだけでも20時間前後、全クリアとなると60時間必要となる。それを考えると”手軽に遊べる”というゲームではないかもしれない。
しかし氏のテキストはシリアスシーンにしろ日常シーンにしろプレーヤーを飽きさせない。読者をぐんぐん引き込んでいくだけの力を持っている。長時間プレイしていても苦にならない出来だと言える
きのこ氏の作品に一貫して存在する『魔術』の概念は慣れていない人なら最初は抵抗を覚える事もあるかもしれないが、テキストの上では親切に説明されているし、慣れてしまえばより一層Fateの世界を楽しめる事だろう。
話は基本的に士郎が仲間達と協力して『聖杯戦争』を勝ち抜く。あるいは謎を追っていくというのが主題。
大きく三部構成になっていて、第一部、第二部と順番に攻略していくことになる。といっても第二部は第一部の続きというわけではなく、第二部、第三部はそれぞれ第一部と同じ状況からスタートし、それぞれのシナリオに分岐していくというスタンス。要するにどのヒロインを攻略するのかで話の流れも大きく変わるのだと思えば良い。
ただシナリオの都合上、第二部は第一部の、第三部は第二部のネタバレを多く含んでいるので順番にクリアしなくてはならないだけ。『月姫』をプレイした事がある人ならお馴染みのスタイル。
流血、スプラッタシーンが多いですが、テキストの表示されるだけでグラフィックでの直接的な表現は少ないので出血沙汰が苦手な人でもプレイ出来ると思います。
<音楽―90点>
『月姫』等と比べて曲数が大幅に増えている事に感心しました。一曲一曲の質も落ちてないように思えるし、ゲームを盛り上げるという以上に、耳に残るBGMだと思います。
主題歌もなかなか良かったし、特に問題は無いと思います。
<エロ―90点>
主に純愛路線のHシーンですが、なかなかに濃い内容だと思います。
CG枚数も多いですし、充分に満足できるレベルだと思います。
<総評―95点>
とても完成度の高いビジュアルノベルです。システム面も充実しているので使いやすいですし、戦闘シーンなどで織り込まれる派手な演出もなかなかに爽快です。
グラフィック、シナリオ、BGM全ての面で高い品質を誇り、文句の付けようがありません。
このゲームの良さを知るにはとにかくプレイしてみるのが一番だと思います。
<以下、管理人のきわめて個人的な感想。ネタバレ含む。注意>
美少女ゲーム史に残る名作になると思います。同人業界が大喜びする事間違い無し。
テケメケ個人は桜派ですが、セイバーも凛もその他のヒロイン達も皆魅力的なキャラばかり。そしてそのキャラ達が魅力的なシナリオとBGMに沿って活躍するとなればもう文句の付けようがないかと。
イリアルートを始めとする没ルートの復活を望む声も多くありますが、ファンディスクの製作も考えているようですし、とりあえずはこれで満足。
高品質のテキストとグラフィック、燃える演出、切ないエンディング。これ以上のノベル作品はそうそう作れるものではないでしょう。
<各ルート別感想文>
<セイバールート〜Fate〜>
三本のルートの中でも基盤になるシナリオ。孤高の騎士とダメダメ魔術師が力を合わせ、しだいに心も通わせながら聖杯戦争を戦い抜いていく最も鮮やかで切ない話。己の信念と感情の間で戸惑うセイバーと士郎の不器用な姿がもどかしい。
最後の戦いでそれぞれがそれぞれの敵と相対し、同じ瞬間に同じ奇跡を呼び起こすシーンは正に感動。お互いが真に信頼し合っていたからこそ掴めた勝利。そしてその直後の短い別れ。とにかく儚く、美しかった。
巷ではグッドエンドが無かった事を批判する声もあるようですが、トゥルーエンドがあそこまで美しいと(個人的には)グッドエンドの存在はかえって興醒めのような気がするのでその辺はファンディスクにお任せで。運命と信念の下で寄り添い、分かれていく二人の道に酔え!!
<凛ルート〜Unlimited blade works〜>
凛ルートというよりも士郎ルート。士郎が己の信念とその先にあるものの間で葛藤する。士郎がカッコイイ。アーチャーがカッコイイ。ついでにバーサーカーもカッコイイ。漢達の魅力が大爆発するシナリオ。信念を貫き通すべく足掻く士郎と信念を貫き通した果てに倒れたアーチャーの戦いは本当にハラハラした。
満身創痍でなお立ち向かう士郎と過去の己の姿に思わず魅入ってしまったアーチャー。存在意義を賭けて戦う漢達の姿に酔え!!
<桜ルート〜Heavens feel〜>
グランドフィナーレに繋がるシナリオ。聖杯戦争は実質的に破錠し、その下に隠れていた物語の根幹に迫っていくシナリオ。桜の隠された真実が露呈し、士郎が己の信念そのものと向き合う。巷では士郎がそれまでずっと貫いてきた信念をここに来て覆す事に意味があるのかという声があるけど、僕はむしろこのシナリオこそが士郎が最も己の信念と向き合う話だと思う。
セイバールートでは一つの信念を貫き通す強さが描かれた。凛ルートではその信念の未来と向き合い、意義が問われた。そして桜ルートではそれまで信じてきたものではどうしても突破できない壁にぶつかった時どうするのかという話なのだと思う。確かに桜を見捨てれば士郎は己の信念を最後まで貫き通す事ができただろう。しかしそれは本当に自分が望む結果なのかと考えた時士郎の信念に亀裂が入った。
一つの信念を貫き通す事が強さであるように、何か別のものを守る為にそれまで貫いてきた信念を曲げる事もまた強さなのだと思う。一つの事に固執し続けることは難しい。でも固執し続けるという事は同時に固執することをやめる事に恐怖を感じるということではないか。信念を曲げると言う事はそれまで培ってきたモノを壊すということ。これからの自分は今までの自分とは違うものになるのだということ。信念を曲げると言う事はその信念と改めて向き合うと言う事なのだと思う。
自分の信念と桜を天秤に掛けた時、自分の中での桜の存在の大きさを認識すると共に、自分にとっての信念の大事さも再認識したのだと思う。だからこの桜シナリオは士郎にとっての信念の大きさを凛ルートに負けないくらい語った話なのだとおもう。
僕個人が桜派だから贔屓目に見ているのかもしれませんが、僕はこのシナリオが一番好きですね。他の2ルートに比べると圧倒的に雰囲気が暗いのですが、だからこそエンディングでの桜の笑顔が際立つのだし、これも一つのシナリオとして完成していると感じる。
痛烈な運命に翻弄されながらも気高く生きる二人の生き様に酔え!!